2017年6月16日金曜日

タッチウエイトマネジメント2017研修会シリーズ 終了しました

名古屋会場は今年初めての開催で2日間の日程で行われました。主催していただいた中部楽器技術専門学校の卒業生を中心にベテランから若い方まで広い年代の皆さんが集まってくれました。

1日目はタッチウエイトを極端に重くしたものと軽くしたものを試弾して経験していただきました。同じアクションでもやり方によってかなりの重さの変化を持たせることができるからです。なぜそうなるのかその原理を解説した後試弾をして感触の差を感じていただきました。初めての開催ということでもあり、専門用語については丁寧に説明しました。
午後はグループに分かれアクションモデルを使ってスタンウッド測定を体験していただきました。生徒さんの手作りとのことで、部品の位置関係などに大きな幅があり、ストライクレシオなど普通はお目にかかれない数値も算出されました。後半はアップライトピアノでのタッチウエイト調整の可能性と特徴などについて説明しました。
2日目は実機アクションにて実際の分析・調整手順をお見せしました。部品交換を伴う例については実機ではわかりやすいデータが取れなかったので金沢会場のデータを使って紹介しました。
午後は慣性モーメントについて個別部品での体験と解説、そしてギアレシオと換算慣性モーメントの説明をしました。実機アクションで要素を変えた上でバランスウエイトは同じにした何種類かの実例を準備し、その違いを体感していただきました。

ストライクレシオ計算中

ハンマーストライクウエイト測定中 




国立会場はニッピ関東支部9班の開催で今回3年目となりました。これまで継続して参加されていた方に加えて、初心者の参加もあったため若干内容を変更して行いました。

午前中は予定通り慣性モーメントについて実技を交えて解説しました。各部品ごとの慣性モーメントを実際に指で感じ、マネジメントで行う各要素の調整によってギアレシオがどのように変わるのかなど説明しました。実機ではバランスウエイトを揃えても鍵盤鉛の入り方によって重さの感覚が違うことなどを試弾して確認しました。

午後は初心者、中級そして上級と3つに分かれてそれぞれ並行して実習を行いました。
初級はスタンウッド測定とストライクレシオの計算を体験しました。ウイペンスプリング付きのアクションでしたので2つのバランスウエイトを測定してアシストスプリング力を求めたり、ストライクレシオの計算でどちらのバランスウエイトを使うかなど混乱もありましたが最後には自力で良好な数値を得ることができました。
中級はベルトサンダーを使ってのHSW調整、バランスパンチングクロスの半カット、アシストスプリングの力調整、バランスウエイト基準の鍵盤鉛測定を行い鉛位置の決定・穴あけ・鉛詰めまで実習しました。
上級は次高音のサンプル音を慣性モーメントも含めてマネジメントで行う測定と計算を完成させ調整の方向性を確認しました。

鍵盤の鉛用穴あけ(中級)

バランスクロスの半カットをするための接着剤塗布(中級)

スタンウッド測定から得た数値を用いてストライクレシオ計算中(初級)

HSW調整でのテーパー加工(中級)

午後の実習はカオス状態ではありましたが、経験者が各作業で手伝いをしてくれたので事なきを得ました。ありがとうございました。

これで今年の研修会シリーズは終了です。今回実施した各会場、そして新規会場も含め次の段階の研修会の可能性をお問い合わせ頂いています。来年・再来年に向けた研修会計画を年内には策定してご案内する予定です。この研修会の開催に興味のある個人・団体の方はyuji3804@gmail.comまでどうぞご連絡ください。

2017年6月7日水曜日

タッチウエイトマネジメント研修会シリーズ2017 中盤終了しました



金沢会場は昨年に続き2回目です。ベテランの方はもちろん、若い方にも大勢参加していただきました。

前半はタッチウエイトに関わる各要素を変化させるとどうなるのか試弾してもらい、その原理を解説しました。アクションをピアノ本体に入れての試弾でした。
後半は、実物アクション(ウイペンアシストスプリング付きで鍵盤鉛が少ない典型的なKGモデル)を、スプリングなしでどのように普通のタッチに変更できるかいくつかの道筋を提示し、実際に作業してみてその変化を比較検討していきました。追加としてスプリングを生かした形でのやり方も提案しました。


会場の様子

実機で試弾する参加者




西宮会場は今年初めての開催で2日間の日程で行われました。ベテランから若い方まで広い年代の皆さんが集まってくれました。

1日目はタッチウエイトを重くしたものと軽くしたものを試弾してもらうところから始めました。同じアクション部品を使ってもやり方によって重さの変化を持たせることができるからです。関係する各要素を変化させるとどうなるのか試弾してもらい、その原理を解説しました。初めての開催ということでもあり、専門用語については丁寧に説明しました。
午後はスタンウッド測定を体験していただき、後半はアップライトピアノでのタッチウエイト調整の可能性と特徴などについて説明しました。最後にアクションレシオとストライクレシオの違いを実例をお見せしながら解説しました。
2日目は実機アクションにて実際の分析・調整手順をお見せしました。部品交換を伴う例については実機ではわかりやすいデータが取れなかったので金沢会場のデータを使って紹介しました。
午後は慣性モーメントについて個別部品での体験と解説、そしてギアレシオと換算慣性モーメントの説明をしました。実機アクションで要素を変えた上でバランスウエイトは同じにした何種類かの実例を準備し、その違いを体感していただきました。

会場の様子

試弾している様子  Participant tries two (or three) notes between original and touch-modified one

研修用に準備した道具・部品の数々  Tools, parts and other materials for the seminar



残る後半は名古屋会場と国立会場のみです。名古屋会場は参加申し込みを締め切っています。国立会場はお問い合わせください。連絡先は当ブログの過去ログにあります。

2017年6月2日金曜日

タッチウエイトマネジメント研修会2017 国立会場

国立会場のご案内

国立会場は日本ピアノ調律師協会関東支部9班主催で、一昨年・昨年に続き3度目の開催です
これまでの基礎編と中級編の知識と各人の経験を元に、今回は上級編として下記のような内容で行います。みなさまのご参加をお待ちしております。

1、BW基準とFW基準の鍵盤鉛調整
   鍵盤鉛の調整方法としてバランスウエイトとフロントウエイトを基準としたそれぞれのやり方を実習します。タッチウエイト調整の最終段階の作業工程となります。鉛の位置決め、鉛を一部抜く時の計算方法なども実習します。

2、慣性モーメント集中講座
   バランスウエイトと並びタッチウエイトの指標のひとつである慣性モーメントを掘り下げて学びます。個々の部品がどのように動くのか、それらが組み合わさった場合の影響はどうなるのか、そして各要素を変えた場合にどのように手ごたえが変わるのか、など実際に体験を通して感じ学んでいきます。


Touchweight Management (TWM) Seminar by Yuji in Kunitachi, Tokyo

One day seminar will be held in Kunitachi, Tokyo on 13 June, 2017.
Key balancing with Balance Weight method and understanding Inertial effect in piano action will be presented. Many experimental activities are proposed. No English interpretation is given. See below link for English users. 
http://yujipiano.blogspot.co.nz/2016/11/aptta.html  



日時:6月13日(火)9:30~17:00(受付は9:00より)

会場:ムサシ楽器ビオレホール 国立市東1-14-15 2階

参加費:会員無料、一般10,000円

申し込み・問い合わせは関東支部9班班長荒尾信隆さん( nobuarao@nifty.com 090-1439-4048)までどうぞ。

昼食は各自ご用意をお願いいたします。終了後、反省会を予定しております、詳細は当日ご案内します。






2017年6月1日木曜日

タッチウエイトマネジメント研修会シリーズ2017前半終了しました



今年の研修会ツアーは5月27日の渋谷会場で幕開けです。昨年の入門・基礎編に続き今年は初級・中級編を行いました。タッチウエイトマネジメントで活用する要素(個別の重さやレシオなど)を変えたサンプルを作り、どのようにタッチ感が変わるのか試弾を繰り返しながら体験していきました。タッチウエイトマネジメントの手法によってどこまでタッチウエイトが変化するのかを感じ取れたと思います。後半はタッチウエイトが重いという前提のサンプル音を作り、それをどのような手順で分析・作業していくのか紹介しました。

研修会場の様子 

グランドアクションの試弾 

アップライトにてレシオ変更の際のタッチウエイト変化を確認

仮キャプスタンを取り付けキャプスタン接点位置を移動させる
Install dummy pilots to change heel-pilot position, one at back & another at front



仙台会場は今年も2日間の連続講義でした。会場は昨年と同じく仙台ピアノ工房さん。独特の空間で集中が高まります。

コンサートピアノ2台のある空間に実習用持ち込みアクションが鎮座する

昨年の入門~初級~中級編に続き、今年は中級復習編と上級編を融合させた内容でした。特にタッチウエイトにおける慣性モーメントの影響を平衡ウエイトと対比させながら学びました。タッチウエイトが各要素ごとにどのように変化するかを確認し、その理由をそれらの特色を元に理解していただきました。

サンプル音を設定して各要素を変えながらそのタッチ感の変化を理論と結び付けて理解しました

タッチウエイトの測定中

今回は参加者の一人がハンマー交換予定のアクションをハンマー・シャンクと共に持ち込んでくれたため、より実践に即した勉強ができました。特にいくつもの可能性から一つを選択する際に考えるべき要素、たとえば求められる品質やコストを考えた上での作業時間の制約・効率などを考えながらどのように最善の作業を決めるのか、メリットとデメリットを考えながら掘り下げました。

交換予定のハンマーとシャンクを取り付けたサンプルを試弾する
Setting up with new hammers and shanks

持ち込んでいただいたアクションのスペックがストライクレシオが7+、ウイペンアシストスプリング(効きめ24g以上)付きなど、タッチウエイトを考える上では絶好(最悪?)のアクションで、みなさんと楽しむことができました。全員スマートチャートを描き、鍵盤のテンプレートを描いて数値も計算し、慣性モーメントの解析まで行いました。

参加者作成のスマートチャート(黒:オリジナル、赤:推定新HSW)

シリーズ中盤は6月1日金沢、5・6日西宮、後半は6月10・11日名古屋、13日国立です。参加に興味のある方は直接お問い合わせください。連絡先は当ブログの最近の過去ログにあります(国立会場を除く)。