2020年4月20日月曜日

ユーチューブ教材 「実際編2 FW基準の鍵盤鉛調整」をアップしました



2020年3月後半から4週間のロックダウンに入る直前に運良くこの仕事を受注することができました。外に出ることができないため撮影などにも時間をかけてまとめることができました。
このビデオでは、適切でないハンマーとシャンクを使って修理されていたブリュッスナーのコンサートピアノを復元する仕事の流れを紹介しています。個々の作業の詳しいやり方は実技編のビデオを参照してください。まだアップしていない作業は今後徐々に補充していきますのでお待ちください。


前編:当該アクションの分析。平衡等式によるタッチウエイト分析とともに、アクションの位置関係の分析も説明しています。

中編:前編での分析に基づき具体的に改造作業を追っていきます。鍵盤鉛調整を行う前の平衡等式の分析まで紹介しています。

後編:FW基準の鍵盤鉛調整に必要な目標FW値の算出法と実際の作業について解説しています。作業前後のタッチウエイトの変化について平衡等式と慣性モーメント計算表を使って総括します。

2019年9月26日木曜日

コンサートのための緊急タッチウエイトマネジメント


先日3日間の室内楽コンサートシリーズの仕事をしました。
I attended Chamber Music Festival last weekend for three days.

ピアノは協賛楽器店からの貸し出しで、今年はAlbert Weber という韓国製の楽器です。
会場はその地域の中心となっている教会で、今までもほぼ毎年調律してきましたが、今回は独立後初めて直接依頼されました。
A piano shop borrowed Albert Weber grand for this series. 



初日は6時半の開演で調律はリハーサル後の4時半から。開場の時間まで約1時間半です。まあ、さすがに今日は調律しかできないだろうと思っていました。
すると、お昼過ぎに3日目に弾くピアニストからメッセージが届きました。「タッチが重くてとても弾きずらいのだがなんとかなるだろうか?特に中音のこの辺とこの辺と、、、、」まずは試し弾きしたようで、かなり焦った感じです。
この日は忙しく会場には4時半ちょっと前に入りました。ピッチを確認すると436Hzあたり。室内楽ですのでピッチはまず440にしないといけないので、今日はタッチまでは触れないなぁ。準備もしてないし。初日のピアニストは私も知っていてどんなコンディションでも弾きこなしてしまう人なので、まずは調律に集中しました。
タッチは確かにすごく重く、3日目のプログラムを見るとフォーレの四重奏曲で、軽く流れる美しいピアノの動きを紡ぎだすのは難しいだろうな、と感じました。先ほどの3日目のピアニストにはひとまずメッセージで「確かにひどく重いけど、明日には何とかはできると思うから」と返信。2日目の3時からリハーサルがあるとの返信が来たので、じゃあ1時に入って2時間でやってみましょうとなりました。

さて、2日目は午後1時に会場入りしました。ポータブル作業台と材料等も持っていきました。アクションを外してみるとキャプスタンの痕がかなりフレンジ寄りになっています。赤いアンダーフェルトと比較するとよくわかります。ウイペンの入力寸法が短くギアレシオが高くなっているのでしょう。シム入れをして当たりを中央に寄せれば効果がありそうです。

One of pianists txted me whether I can lighten touch weight or not.
When I looked at it, yes it's very heavy. I thought I could do shimming whippen heel to change gear ratio. However no time except pitch raising and tuning on first day as I've got only 1 hour and half. I didn't have required material also.

On second day, I brought work bench as well as a bunch of plastic cable ties. Compression mark on whippen heel shows the position of capstan seems is backward from center of red felt. So I inserted a tie between heel cloth and under felt around center of red felt. Then capstan pushes forward to near center which gives longer whippen input length i.e. lowering gear ratio. The result was very satisfactory.

After rehearsal on 2nd day and my work, the pianist txted me she was happy with the touch weight.

半カットしたバランスクロスも持ってきましたが、ヒールを見てウイペンヒールへのシム入れで対処できそうなのでほっとしました。いつもは布ペーパーの細切りを使っていますが、今回は北陸のKさんが使ってうまく効果が出ていると教えてくれた結束バンドを使ってみました。

まずは一鍵だけウイペンを外してシム入れします。ヒールとクロスの隙間はあまりなく、結構きつめでしたのが、バンドはスムーズに入りました。試してみましたが、打鍵の振動でも抜けてくることはなさそうでした。戻して試弾するとなかなか軽くなっていい感じ。これなら満足してもらえるだろうと確信しました。

そこでアクションを外して作業台の上にひっくり返して置き、低音の上の方から中音全部に入れました。全体に見渡してずれているものを微調整してからアクションを戻し、ハンマーならしを行って弾いてみると、やっていなかった次高音の出だし6鍵分が重めだったのでもう一度取り外してその部分にシムを入れて戻して完了。ここまで約1時間。






その後調律を拾ってから、リハーサルを待たずに次の仕事に向かいました。
その仕事をしているとメッセージが来て「弾きやすくなっている!ありがとう!」とのこと。ほっと一息です。

3日目は軽く広い調律をして一応シムのチェック。ずれもへたりもなく問題なしでした。その後コンサートにも行きました。閉演後あいさつに伺ったところ大変感謝され私もほっとしました。




2019年8月15日木曜日

Practical #1, Collecting data, Piano Touch Weight Management

1st video of practical procedure was uploaded. It shows how to collect required data from the action for Touch Weight Management.